――原案となったLast Note.さんの楽曲や原作を読んで感じた『ミカグラ学園組曲』の印象を教えてください。

ビミィ役・松岡禎丞さん(以下、松岡):ものすごい熱量の作品だなと思いました。主人公・エルナが常に中心にいて、おバカだけどパワフルでエネルギッシュな彼女という樹の元にみんなが集まってきて。エルナは天真爛漫で、自分の好きなことに一直線に突き進んでいく姿は見ていて気持ちがいいです。また作品の根幹となっているLast Note.さんの楽曲にもしっかり世界観が構築されていて、それぞれのキャラクターソングにも個性やカラーがハッキリと出ているんですよね。ビミィの曲もそうですが、歌詞からキャラの性格や気持ちがあふれ出るように伝わるのがおもしろいと思います。


――実際にアニメで演じてみて感じた作品の魅力を教えてください。

松岡:エルナ達と同世代の学生さんは共感しやすいし、好きなタイプの作品じゃないかなと思いました。若さ、学生ならではの青春感やパワーが画面いっぱいに感じられて。ただ大人が見ると手がかかる子供を温かく見守るような気分になるかもしれないけど(笑)。ついつい気になるし、目で追ってしまう、そんなキャラ達が暴れまわる姿を見ているだけでも楽しいし、元気になれると思います。



――演じるビミィの印象は?

松岡:まずビミィ役に決まった時、「本当ですか!?」と。オーディションでは事前に「複数のキャラを受けることになるかもしれません」と言われていて、現場に行ったら「じゃあ、次」と続々と違うキャラを受けることになって。その中でまさかビミィになるとは思いませんでした。しかも、オーディションの時と今のビミィは違っていて、オーディションの時はちょっと麻呂(平安時代の貴族)っぽくて…。だから一番手応えがなかったキャラでした(笑)。新しいキャラに挑戦できる喜びと一抹の不安がありました。そして初回に登場した時、意外にブリブリしているなと(笑)。設定的にもあんなかわいらしい外見なのに、声はイケメンボイスで驚きました。ビミィは学園の内情を知っている講師であり、ある事情からあの姿になっているだけです。だから発言に間違いがないんですよね。

 

――演じる時に心掛けていることは?

松岡:人間ではないキャラを演じる機会はなかなかないので難しいんですけど、演技も「微妙」(※「ビミィ」というキャラ名の「微妙」に由来する。)だと何も成立しないと思うので、振り切って演じています。魔法少女ものに出てきそうな珍獣みたいにせず、1人の人物として捉えて初回の収録に臨みました。姿は人間ではないけど講師なので、ただの変な生命体にはしたくなかったんです。テストでやったものがほぼほぼ採用されたので良かったです。そして後々、この演技プランが活きてくるといいなと思っています。



――今回歌われたキャラクターソングを聴いた時の印象は?

松岡:「不条理ルーレット」を聴いた時、「うわ~!(汗)」みたいな(笑)。ビミィの境遇、なぜこんな姿になってしまったのかという心の叫びを歌っていて。1番のAメロの"[Q:オイラの姿は、何の罰でしょう?]"からがせつないんですよね。その後の"傷つけないように答えて欲しいよ……"もフラグになっていて。もうビミィそのものと言っていいのでは。アニメの収録が始まる前にこの楽曲の歌詞を見て、ビミィのキャラクター性が固まりました。ただ収録の回を重ねるごとに当初は考えもしなかったビミィに進化していって。演じる前と実際に演じてから聴いた曲の印象、歌詞の重みが変わりました。

 

――実際にレコーディングしてみた感想と苦労した点は?

松岡:原曲はボカロが歌っているかわいい曲なので男性の僕がどう歌うのかなって。またボカロの曲はブレがない分、頭に入りやすいけど、演じる僕が歌うことで抑揚やキャラクター性を出せたらいいなと思いました。レコーディングの日、Last Note.さんから「主旋3割、セリフ7割くらいでいきましょうか」と言われたので、「じゃあ、僕、感情解放します」と。

 また「シャウトみたいに歌ってください」とも言われたので、歌というよりビミィの絶叫?になっています。ラストのフレーズはハズしてますから。でも歌えば歌うほどビミィの気持ちになって泣けてくるんですよね。原曲を知っている人はその変わりように驚くはずです。アニメをご覧になっている方が聴いたら納得してもらえると思います。今回2通りのプランを用意していたので、もう1つの歌い方もいつか披露できたらいいですね。あと、間奏のところに入るので。ビミィの口癖である、語尾の"りゅい"がいっぱい入っているんですけど、意外に言いにくて(笑)。

 

――お気に入りのフレーズや聴きどころを挙げていただけますか?

松岡:レコーディングの当日にLast Note.さんがセリフを書いてくださって、急きょ入れることになりました。原曲では間奏になっているところで、ビミィが目の前で想いの丈を吐露しているバックにビミィ達が踊っているように聴こえると思います。気に入っているフレーズはサビですね。特に1サビの"不条理すぎるよ エリートコースまっしぐらって信じてたのに"から"おかしいな?って泣きそうりゅい"までが好きです。この曲を聴いて、「ビミィは普段こんなことを考えているんだ!」と興味を持ったり、共感していただけたら。この曲はまず歌詞を見てから、その後に聴いていただきたいですね。歌詞から受けるフィーリングを大切にしてつつ、実際に聴くとその印象がぶっ壊れるのが楽しいですよ。あとビミィの絵を見ながら聴くと更に感情移入しやすくなります! いろいろな聴き方をお試しください。

 

――皆さんへメッセージをお願いします。

松岡:『ミカグラ学園組曲』はものすごくハイテンションで、キャラ達も動きまくって躍動感があって楽しい作品になっていると思います。エルナだけでなく、ひと癖もふた癖もあるキャラ達がそれぞれクローズアップされて、意外な過去があったり、目が離せません! もちろんビミィにも! 現場もいい雰囲気で収録させていただいて、みんなの熱量に負けないように、ビミィとして精一杯突っ込ませていただいています。まだご覧になっていない方には、見たら元気になれること間違いないので見ていただきたいです。エルナのおバカさに笑いつつ、真っ直ぐさにキュンときたりするし、僕も怪演?していますので(笑)。またビミィのキャラソン「不条理ルーレット」では、セリフを重要視してくださいと言われたレコーディングは初めてで、最後に音程がハズれたのに「最高です!」とOKが出たという(笑)。これからさらにTom-H@ckさんのアレンジが加わるということで完成が楽しみです。聴いて、ビミィの思いの丈を感じてください。

©2015 Last Note.・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/ミカグラ学園組曲製作委員会